表具師/栗田秀則プロフィール

- 1968年(昭和43)宇都宮市生まれ。
- 高校卒業後、全国表具内装連合会会長故向井一太郎氏の内弟子となり6年間表具の修行をする。
- 92年栗田表装開業。
- 94年栃木県技能競技大会表具の部1位となり県知事賞を受ける。
- 01年厚生労働大臣技能士1級認定。下野手仕事会会員

表具師の仕事

表具師の仕事/伝統技法を現代に

表具師の仕事はとても間口が広い商売なんです。
襖、障子などの内装から掛軸、額装まで、和紙や布を使って貼るものはほとんど入ります。注文も多種多様ですが、一つひとつていねいに納めてきました。作業場に入りきれない大きな注文もありました。
宇都宮市下田原で表装店を営む表具師栗田英典さんは、開業以来歩んできた15年間を振り返る。公務員の家庭に育った英典さんが表具師の道に入ったのは、高校生の時、表具店でアルバイトをしたのがきっかけだった。親方の表具の技術に魅せられたことと後継者不足を開き「俺がやってやる」と使命感にかられ、表具の世界に飛び込んでしまったという。その後、縁あって当時全国表具内装連合会会長をしていた故向井一太郎氏の内弟子となり上京、6年間住み込みで修業をするなか、表具師としての伝統的な技法を身につけた。当時8人いた弟子の中で親が表具師でなかったのは、英典さんだけだったという。
 栃木県に戻った英典さんは、自宅の隣に作業場を持ち、若干24歳で独立・開業した。
「請け負った仕事は一生懸命やりました。修業時代は肝心なところは親方がやってくれましたが、看板を出しているからには言い訳はできません。無理難題と思える仕事にもチャレンジしてきましたが、それもチャンスをもらったと思っています」と話す英典さん。修業時代を含めれば21年間表装の仕事に携わってきたことになる。
 表装に使われる手漉き和紙、裂地などの材料は、表具師にとっては大切な財産だ。英典さんの作業場にも所狭しと材料が並んでいる。化学繊維から正絹の高価なものまでさまざまだ。金糸を使った緞子に漆を塗った裂地など、その重厚さには目を見張るものがある。なかには、廃業した表具師から譲り受けた古いものもあるという。
 現代においては古いものから新しいものまで多様な仕事が求められる。住宅事情も変わってきており、表具にも時代に合わせた工夫が要求されている。なんでもない和紙に手間を掛けて独自の壁紙を作るなど、伝統的な形を守りつつ、現代に合った創意工夫を施すところに今に生きる表具師としての役割を見いだしているという英典さん。本物を志向する真摯な仕事ぶりが信頼を生んでいる。  修行時代親方が教えてくれた「生きる道」をまっすぐに歩いてきた。そしていずれは昔の表具師が手掛けた古いものを仕立て直し、次の代に受け継ぐ仕事をしたいという。それが表具師の究極の仕事だと思っているから。